◆県内で力を持つ男子校出身者
その高校の生徒は、比較的裕福な家庭に育った子が多かった。父親は地方議員や開業医、士業。母親は専業主婦というのが典型だと思われる。そんな環境で育まれた“文化”のもとでは、いい年齢をした男女が結婚しないのは、常識外れとみなされるのだろう。
セクハラをめぐる学校との話し合いは、回を重ねても平行線をたどった。「もう無理だ」と思い、ミユキさんは職を辞した。
一連の出来事をとおしてミユキさんには、気づいたことがある。
この学校だけではない。「男子校文化」の影響は、地元、ひいては県全体に及んでいる。
有名男子校は県内にほかにもあり、その生徒の多くが都市部の有名大学に進学する。大学卒業後、彼らにとって郷里に戻っての就職や起業はとても有利で、公、民ともに世代を問わず、エリート職には男子校出身者が名を連ねている。
「男子校出身者が自分の職場にも“伝統修練”の文化を持ち込んでいるんですよね。そうやって、県内の大事なことを動かしているのでしょう」