◆ホームラン・たにしの“ある言葉”に感動
――進言を受け付けるお立ち場でもあるわけですね。
塙:こうしてくれ、ああしてくれ、意見はいっぱいあるじゃないですか。でもいちいちそんなことに腹を立ててもしょうがないというか。それがもうベースにあることが分からないと、生きていくのってつらいですよね。漫才って特にふたりだから、けっこうそこに凝縮されるんです。
この映画を観てそのことが通じるかどうかは分からないのですが、ネタ以外の裏側を見せるということで、たとえば人間関係などで悩んでいる人にも何かひとつ参考にしてもらえたらいいですね。
ホームランのたにしさんのすごくいい言葉があって、「『ウケた時は相方の手柄で、滑った時はお前の責任だ』と最初に師匠から教えてもらったから、僕ら仲良くできました」って。ああ、それってすごく大事なことだなと。生きていく上でね。僕はたにしさんのこの言葉にすごく感動しましたけどね。
――本作、安部譲二さんの小説のタイトルに引っ掛けていたり、笑いが多めかと思わせておいて、どちらかというと感動ポイントのほうが多いですよね(笑)。
塙:いや、ちゃんとしていますよ! 笑いの部分は明治座でのサンドウィッチマンのくだりで補って頼っていますけどね(笑)。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。