■いわゆるアイデンティティの崩壊

 前回、第1話のレビューで「女のコンプレックスと庇護欲、それに男のプライドが複雑に絡まり合う予感が漂います」と書きましたが、第2話はおおむねそんなお話でした。

 将来のNBA候補であるカンペキ彼氏・南くんとの関係に幸せを感じつつも、コンプレックスを払拭できないでいたちよみちゃん。ちっちゃくなった南くんを部屋に持ち帰ると、さっそくリカちゃん人形の服を着せて、愛で始めます。

 その姿は、推しのアクスタを手に入れた女ヲタそのものです。しかもこの南くんアクスタは、動くししゃべるんですからもうたまりません。そりゃ「ちょっと触っていい?」とも言いたくなる。さまざまなポーズを取らせて写真に収めてご満悦です。

 寛容なんですよね。とんでもないことが起こったけれど、とりあえず目の前のちっちゃい南くんはかわいいし、この時間は楽しい。ちよみの場合、だからこの時間を楽しもうというポジティブが先に来ちゃう。きっとこうして暮らしてきたんだろうな、と想像させるわけです。ちよみは、今暮らしているパパと弟とは血がつながってない。おばあちゃんが実の息子である前のパパ(富澤たけし)を追い出して、お嫁さんだったママと3人で暮らしているところに、今のパパ(武田真治)が弟を連れてやってきた。いろいろ思うところもあっただろうけれど、みんな底抜けに明るかったので「今楽しいからOK」という基準を受け入れることができたということです。