◆「現場でムロ君が何をしてくるかわからなかった」
――その指針として、ムロさんの自由自在な演技に依るところも大きかったのでしょうか。
永山:そうですね。それぞれのシーンにおいてシリアスなのか、コメディ要素が入っているのか、なんとなく台本の時点でのイメージはありましたが、現場でムロ君が何をしてくるか分からなかったので(笑)。準備して行っても壊されるだろうなっていう気持ちもありましたが、どこかで揺るがない大石内蔵助としてもいなきゃいけないわけですよね。
一般に主役は基本的に受けで、周りの人が仕掛けるところがあるものですが、今回はその形式が全部取り払われて、かなり自由度の高い台本だったいます。そこがとても難しかったです。
――そのムロさんとは久しぶりの共演でした。思うところもありそうですね。
永山:ムロ君と『サマータイムマシン・ブルース』という映画で出会ってから、20年近く経っているんです。ムロ君とはこれまで違った道を歩いて来たのかもしれないけれど、久しぶりに共演して、その年月の短さと言いますか、刹那的なものを感じましたし、お互いにあっという間にこんなとこまで来てたんだなと。一瞬で駆け抜けてきたのかなと感じました。
あとは、ムロ君のコミカルさが、どこかはかない感じに映っているように感じて、とても素晴らしいなと思いました。役を演じて、感性に触れることを職業にしながら、ここまでやって来たんだなと。