◆「どれくらい砕いていいのかな」と試行錯誤

「身代わり忠臣蔵」
© 2024「身代わり忠臣蔵」製作委員会
――永山瑛太(以下、永山):今回の『身代わり忠臣蔵』は、これまで日本中で愛された時代劇「忠臣蔵」をベースに“身代わり”という斬新なアイデアが加わった、土橋章宏さんの小説の映画化でした。

永山:これまで大先輩方が演じられてきた忠臣蔵ではありますが、今回に関しては史実はあまり意識せずに演じました。土橋さんが作り上げた大石内蔵助は、情けなさなどが相まって、これまでの作品の大石内蔵助と比べて、描かれ方がまったく違うんです。

その上で大石内蔵助は、(主人公・吉良孝証とその兄・吉良上野介を演じる)ムロツヨシ君が、どういう表現をしてくるかに全部ゆだねられている感じなんですよね(笑)。そこが今作の面白さでもあります。

――大石内蔵助は赤穂藩の腰抜け筆頭家老という設定で、幕府からの圧力と吉良家への討ち入りを求める家臣の声に日々頭を悩ませている状態ですよね。

永山:赤穂藩の筆頭家老なので本来、身分としては偉い人ですよね。武士として、時代背景もいろいろとあるとは思うのですが、今回そこをどういったバランスで崩していこうかという部分が、少し難しかったです。時代劇のお芝居の形式みたいなものを、どれくらい砕いていいのかなというのは試行錯誤しました。