◆「すべてが終わったら、ママも優ちゃんのところへ行くからね」
彼女の目的は何なのだろう、夫に復讐して楽しいのだろうかと観ている側に疑問が生じたころ、こんなシーンが差し挟まれた。
復讐のため出かける彼女が、息子の遺影の前に座ってこう言うのだ。
「すべてが終わったら、ママも優ちゃんのところへ行くからね」
彼女の覚悟がそう決まっているのなら、がんばれ、もっとひどいことを仕返してやれ、と思わず応援したくなる。ドラマの展開の妙だろう。
また、このドラマでは、「ごく普通の人たちがおりなす、ごく普通の日常生活」がときどき挿入される。近所の主婦たちが立ち話をしているところ、女子高生が連れ立って歩いているところ、公園で遊ぶ子どもたち、帰宅のために駅に向かう社会人たち。こうしたありふれた日常を見せることで、日常を失った美咲の気持ちが伝わってくる。