◆「だらしない」「努力不足」ADHDの困りごとに対する偏見
――遅刻や忘れ物などのADHDの困りごとは、世の中では「だらしない」と批判されることがあります。それを自分の苦手分野として認識するのはつらかったと思いますが、どう受け入れていったのでしょうか?
はなゆい:完全に受け入れられているかというと、私の中でもまだ葛藤があるんです。例えば「物忘れがひどい」「空気が読めない」「時間の感覚が人と違う」というのは自分でも認められていると思います。でも、「遅刻が多い」「ドタキャンが多い」というのは「認めたくない!」という気持ちがまだあるので、まだ受け入れきれてないですね……。
けれど、「自分はこれが苦手だ」と受け入れないと対策が立てられないので、腹を括るしかありません。やはり、自分が失敗したときの反省と後悔が踏ん切りをつけるきっかけになるのかもしれません。
――苦手分野として、「集団で作業する際に何をしていいか分からない」というエピソードがありました。現在はこういう場面ではどう振る舞うようにしていますか?
はなゆい:そういうときは「自分で考えて何かやる」ことはもう諦めています。何をしたらいいか人に聞くか、誰か他の人の真似をするようにしています。
――今回の書籍について、読者からどんな感想が寄せられていますか?
はなゆい:「自分だけじゃなかったんだと思えた」「すごく分かりやすかった」「感動して泣いた」「私も私でいいんだって思えた」「対策があるんだって思えたら前向きに生きていけるようになった」など、読んで救われたという声がすごく多かったです。
その方たちの体験談を読ませてもらったことで私のほうが救われています。他にも、臨床心理士の方から「臨床心理士の勉強にもなるほど専門的で分かりやすい」と言ってもらったのが嬉しかったです。
<取材・文/都田ミツコ>
【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。