2 投資信託預り残高上位 20 銘柄のコスト・リターン

コスト=販売手数料+信託報酬率と、リターンの計数を毎年3月末で公表するように求めている。横軸にコスト、縦軸にリターンを置いたグラフ(基準日は2018年3月末)に対する金融庁の分析コメントは以下である。

「コスト・リターンを検証したところ、両者に明瞭な関係が認められず、コストに見合ったリターンは必ずしも実現していない」。
すなわち、高い信託報酬の投資信託を購入したからといって、必ずしも高いリターンとなっているわけではない。コスト高=リターン高とは言えないということだ。

3 投資信託預り残高上位 20 銘柄のリスク・リターン

投資信託のリスク(標準偏差=上下のぶれ幅)とリターンの計数を求めている。
横軸にリスク、縦軸にリターンを置いたグラフではリスクが10%から14%、リターンが2%から12%の範囲でデータが表されている。金融庁の分析コメントは
「リスクの上昇に伴いリターンも一定程度上昇する傾向が見られた(以下略)」。

投資で成功するためのコツ、王道の低コスト運用にはKPIは不要?

2017年4月、森長官は著名な投資家の著書を引用してコメントを出した。「個人が投資で成功する秘訣」として「コストの低いインデックス」運用を選ぶべきで、インデックスがアクティブに対してリターンが高いという著者の主張は「日本株投信についても当てはまるように思える」との内容であった。

低コストのインデックス運用商品である、「DC専用、ファンドラップ専用投信、ETF、上場REIT、公社債投信(MRF、MMF等)は今回のKPIの対象からは除かれている。これらはすでに低いコストを実現する場合がほとんどで、リスク、リターンは市場平均に近い傾向がある。既に透明度が高いと言えるわけだ。

実は、コスト意識の高い富裕層やプロの運用者は、ETFやREITの低コスト傾向、高い透明性、換金性を知っており運用に活用している。グローバルにはアクティブ型から資金が流出し、インデックス型に資金が流入している事実がある。

このKPIを利用して投資信託へ投資をする前に、所得控除と非課税が利用できる確定拠出年金(DC)、非課税制度が利用できるNISA、つみたてNISAをまず資産形成の選択肢とすべきだと筆者は考える。

資産規模が大きな富裕層の選択肢としてはETFとなっており、その資産規模が拡大している事実を知って欲しい。「低コストのインデックス運用」の王道は実はETFにあるだろう。

KPIによって投資家の金融商品に対する理解が深まって欲しいが、投資対象の金融商品はいわゆる一般的な投資信託以外にもあるのだ。

文・安東隆司(CFPRファイナンシャル・プランナー)/ZUU online

【こちらの記事もおすすめ】
1万円から始められる投資があるって、知っていますか?
あなたの資産運用リスク許容度がわかる10のチェックリスト
買い物ついでにプチ資産運用 「おつり投資」「ポイント投資」って?
寄付だけじゃない!クラウドファンディング2つの「新しい形」
何から始めたらいい?投資のはじめの第一歩