◆“アンチ夏”を徹底

 夏の人であり、冬の人でもある目黒は、『海のはじまり』では、アンチ夏を徹底している。笑ったときに鼻の左上端にシワが出来る目黒蓮スマイルのさわやかさは健在だが、目黒が演じる月岡夏は、基本的に、晴々とした夏空の下、心の中はほとんど曇天状態なのだ。

 大学時代の交際相手・南雲水季(古川琴音)が亡くなり、残された幼子・南雲海(泉谷星奈)が実は自分の娘であることを知る。7年前、人工妊娠中絶同意書に涙ながらサインをしたはずだった。

 なのに、6歳になった海が、突然目の前に現れた。海は自分の名前が、夏であり、父親であることを理解している。夏と海。「夏く~ん」と言って、大きな目を輝かせる海を見て、夏はこの夏、「海の(人生の)はじまり」を悟る。