■ピンポイントで届け

 結果、一花さんの機転と加賀美センセの財力によって円満解決に至るわけですが、すごく「今つらい子」にピンポイントで刺さるように作られてるなと感じたんです。2軍や3軍でそれなりに迫害を受けながら楽しくやってるよりも、1軍で無理してるのしんどいよな。そういうところに、ピンポイントで共感を示している。

 たぶんプロにはなれないけど、今、映画を撮るのが楽しいから。

 そういうニュアンスへの帰結は『桐島』と共通するものでしたし、『桐島』で映画部の前田を演じた神木隆之介が『ビリスク』にはチョイ役で出ている。今回は、神木パイセンからカントク鈴木を演じた柏木悠という若手俳優への『オトナ帝国』にもなっているという、げに美しい構造なのでした。

 ちなみに自分の高校時代など思い出してみれば、学校にもあんまり行かないで、どいつもこいつもサルどもが、くたばれ、死ね、滅びろなどと呪詛を念じながら全校生徒を見下していましたので、おそらくスクールカースト最上位だったのだと思います。うーん、イエスタデイ・ノー・モア。

(文=どらまっ子AKIちゃん)