同人誌販売もキャッシュレス:pixiv PAY(ピクシブペイ)

(写真=筆者撮影)

イラストなど、投稿した作品を通じてコミュニケーションができる会員制ウェブサイト「pixiv(ピクシブ)」。pixivと連携したネットショップの作成、オリジナルアイテムのグッズ制作など、10以上のサービスを展開しています。
 
クリエイターのニーズから生まれたのが、キャッシュレスの決済サービスpixiv PAY(ピクシブペイ)です。

コミックマーケットなどイベントで同人誌を売りたいという場合、現金でのやり取りが必要になります。でもそこには不便がありました。

「たくさんの小銭が必要になる、お金を持っているので盗難被害に遭うことがある、お金のやりとりにスピードが要求されるので500円といった『きりのいい値付け』しかできない、現金でしか買えないことで、海外からの参加者のハードルも上がってしまう、などです(ピクシブ クリエイター事業部 部長 重松裕三さん)

そうした課題を解決するために、QRコードで商品の決済ができる決済アプリ「pixiv PAY」のサービスを昨年から始めました。

「同人誌を販売するコミックマーケットといったイベントから、キャッシュレス化を進めていきたいですね。若い世代を入口にして、幅広い世代に広げていきます」(重松さん)

イベント会場でも決済できる:STAMPAY(スタンペイ)

(写真=筆者撮影)

金融アプリケーションサービス事業をはじめ、幅広いIT系の事業を行うアイ・ティ・リアライズは「STAMPAY(スタンペイ)」を提供しています。

利用者は銀行預金などからアプリ内のウォレットに電子マネーをチャージし、「電子スタンプ」で決済を行います。耳慣れない「電子スタンプ」ですが、使い方はまさに電子版のハンコというイメージです。

店舗に設置してあるQRコードをスマートフォンで読み取って金額を入力し、店員に画面を見せると、「電子スタンプ」が押されます。「お支払いが完了しました」と表示されれば、支払い完了です。

利用者はスマートフォンが必要ですが、電子スタンプを押すのには電源や通信が必要ありません。店舗だけでなく、露店やイベント会場でも使えるのが特徴です。

「キャッシュレスを地方にも浸透させたい地方銀行、自治体などの依頼による、BtoB(事業者向け)のサービスです」(アイ・ティ・リアライズ 代表取締役 尾上 正憲さん)

取り組みの一例として、JTBビジネスイノベーターズと協業で、今年8~10月にかけて訪日外国人向けスマートフォン決済サービス「Japan Travel Pay」の実証実験を行うことになりました。実験を経て、年内には本稼働を目指します。

「訪日外国人の中には、買い物はしたいのに、たまたま日本円が手元になかったから買えなかった、という人もいるでしょう。地方ではキャッシュレスがなかなか広がらないといわれていますが、こうした新しい決済方法をまず体験してもらうことで、キャッシュレスを広めていければと思っています」(尾上さん)