改善提案の具体例
改善提案の具体例として、ある製造業の事例をご紹介します。
ある製造業の職場では、資材置き場の物を取る時に不便なことが多いという話になりました。具体的に不便だと思った点は資材置き場に電灯がない、備品が高所にあり取りにくいといったものでした。
そこで製造業の会社は、資材置き場に電灯を設置し、資材置き場に踏み台を作ることにしました。
こうした細かい不便を解消していくことは何でもないことのように思えるかもしれませんが、製造業によっては危険な機械を扱う仕事もあります。
例えば、その製造業の会社の資材置き場で、部屋が暗いまま高い所のものを探して足を滑らせた場合、転んで頭を打ったり、機械に体が巻き込まれるような重大な事故につながる可能性があります。
製造業などの仕事ではハインリッヒの法則と言うものが大切に考えられており、1件の重症事故の背景には、29件の軽傷の事故と、300件の傷害に至らないニアミスが潜んでいるという経験則があります。
また、さらにその背景には、数千、数万の危険な行為が潜んでいるとも言われ、有名なものとしては、整備士の不備による飛行機の墜落事故などが挙げられます。
製造業に限らず、SNSなどのネットワークが普及している現在では、たった1件のクレームや事故の対処をきちんと行わなかったことにより、企業そのものの存続が脅かされることもありますので、大きなリスクを回避するためには、せめてニアミスの内に問題を改善しておくことが大切です。
仕事以外の改善提案の具体例
改善提案は仕事以外にも、様々な事例で役立ちます。例えば旅行を事例に挙げると、旅費の改善、経費削減のネタとして考えられます。
旅費は電車や新幹線、飛行機などの公共交通機関の運賃や、宿泊費の経費が挙げられますが、事前に経費削減の対策を考えておくことで、飛行機は往復キップを買ったり、宿泊券まで含めたチケットを購入するなどの具体例を考えておけば、経費が割安になります。
また、旅程が早めに決まっている場合は早割りの制度もあるので、旅行回数が多いほど経費削減となるメリットがあります。
改善提案が出しやすい環境にするには
せっかくの改善提案も職場の空気が悪いと社員も提案しにくくなってしまいます。より良い会社を目指すために、業務内容の改善提案は積極的に行いたいものです。ではどんな環境であれば、社員は改善提案が出しやすいでしょうか。
これから改善提案を提出したいと思っている方も、今後は提出される側の立場になることもあります。そんな時に備えて、改善提案が出しやすい環境についても知っておきたいところです。
改善提案を強制にしない
改善提案は人によっては苦手意識を持ってしまう場合があります。強制的にやらせない方が良いでしょう。仕事として強制されてしまうと、意欲がそがれてしまいます。自発的に改善提案を出してもらえるような空気を作るのがポイントです。
例えば、強制はせずに自由に提出できる改善提案書を会社で用意して、そのフォーマットを簡素化することで、気軽に改善提案を出してくれる場合があります。
効率の数値化や削減時間の計算など…細かな書類を記入するだけでも一苦労となると、社員さんの腰も重たくなってしまいますので、あくまで気楽に書けて提出できるというのが良いですね。
強制はせず、気軽な提案から受け入れる姿勢を見せることが、自発的に改善提案の提出を促すことにつながるでしょう。
ささいな改善提案でも評価する
ささいな改善策からちゃんとフィードバックして評価を伝えるようにすると社員さんのやる気も上がることでしょう。
どんなレベルの改善提案でも受け入れることで、徐々に提案の質も上がっていくはずです。「こんなことしても無駄だよ」「これを治しても意味ないだろう」など、せっかく自発的に提案をしてきた社員さんがいても、上司の考えと合わないからといって否定的な態度が返ってきてしまうと、今後の改善提案を出しにくい環境になってしまいます。
とはいえ、ノーリアクションも良くありません。何かしらの反応が見えないと「提案しても無駄なのかな…」と思ってしまい、そのうち提案もなくなってきてしまいます。
改善提案が不採用の場合でも、単に結果だけを伝えるのではなく、良かったポイントや次の提案がしやすいようにアドバイスをしてみたり、提案を出してくれたことに感謝の意を示すことで、次の改善提案の提出に期待することができます。
ただし責任感を持たせるのは自然と改善提案が提出されるようになってからの方が良い場合があります。
プレッシャーをかけすぎたり、評価やアドバイスを行いすぎても「もっといいものを出さなければ…」と苦手意識を感じてしまう人もいるかもしれません。
自発的な行動は、受け入れる姿勢の方が大事です。ここで否定的になったり、逆に過剰な評価で期待をかけすぎると今後の会社の空気が悪くなってしまうので注意が必要です。あくまで気楽に、楽しんで改善提案が提出できるような空気作りからはじめてみましょう。