◆世の中に当たり前ってない。この取材だって当たり前なことじゃない

細田佳央太
――そこで腐らないのが偉いです。

細田「そもそも役者というのは人それぞれ。もちろん負けたくないという思いはあります。ライバル意識だってある。でも僕はほかの人より自分ができると思ったことはないし、基本、自分より芝居がうまい人しかいないと思っている。そこで卑屈にならなかったのは強みかもしれませんが、それは出会いに恵まれているからだと思います。人にしても作品にしても」

細田佳央太
――不器用だとのことですが、細田さんは、いつもしっかりしている印象です。合同でお話を聞く際には、わざわざ体の向きを変えて、取材相手の目をまっすぐ見てお話する姿がとても印象に残っています。それは細田さんにとって当たり前なこと、無意識の行動なのでしょうか。

細田「世の中に、当たり前はないと思います。たとえばこうした取材も、わざわざ聞きに来てくださっているんですよね。それって当たり前のことじゃない。それに対して、ひとつの姿勢としてちゃんと向き合ってお答えしたいんです。背もたれに寄りかかって足を組んでとかって、ないですよね。僕はそういうのは、自分として好きじゃないんです」