◆泣ける!深夜の折り鶴
「夜9時に出発して翌朝7時頃帰宅。ひと晩で15~20軒訪問する」というルーティンを、3~4年続けたという安藤さん。ご家族が寝静まっている間に「トイレ誘導、水分補給、体位の変換、オムツ交換、安否確認、陰部洗浄」を利用者さんに合わせて行うわけです。
とりわけ「難易度が高い!」のが「寝たままオムツ交換」。私も介護施設でのオムツ交換は経験したのですが、利用者さんが起きている時でも重労働でした。
人間の体はデリケートですし、「ほんのちょっとのミスが命取りになってしまう」のが介護の現場。だからこそ利用者さんやご家族の感謝が、なによりのやりがいにつながるのでしょう。
ある日の夜、安藤さんは次の訪問先までの隙間時間に、車内で鶴を折っていました。その鶴を、認知症の利用者さんの枕元に置いておいたのです。翌週の夜、その利用者さんの枕元には、チラシで折られた大きな鶴があったとそうです。ご家族からの手紙によると「認知症の利用者さんが自ら鶴を折った」というではないですか。
「認知症の父が鶴を折れるなんて思ってもみませんでした。本当にありがとうございます!」。この時の「ありがとう」ほど重みのある言葉はなかったと、安藤さんはしみじみと感じ入ったのです。