◆愛情と責任の狭間

実は私も、ホームヘルパー2級(介護職員初任者研修課程修了)を保持しています。母の介護のさわりだけ経験しましたが、身内と他人様の介護では、わきあがる感情がまったく違います。

身内、ましてや親というのはどこまでいっても目上の存在。身内だからこそ、気丈夫だった母が、威厳のあった父が、弱っていく姿に苛立ちを覚えたり、悲しくなったりするのです。

「私情が入って感情的になってしまうと、介護するほうもされるほうもダメージが大きい」と本書にも記されています。

第三者である介護職員が介入することで、家族間に適切なバランスが生まれるのかもしれません。しかし自宅に介護職員が出入りする訪問介護となると、躊躇(ちゅうちょ)してしまう利用者さんや利用者さんのご家族もいるでしょう。信頼と実績を勝ち取るために、安藤さんも奮闘したといいます。

安藤さんは「お笑い活動と介護の仕事」のふたつの仕事をしていたため、訪問介護は夜勤務を選択しました。夜勤務とは「家の鍵を預かって、決まった時間にお宅へ訪問する」というもの。当然、ご家族が休んでいる間にこなすのです。