◆有村架純の瞳から涙が伝って落ちるカットがとても美しかった
衝撃の事実を知らされたばかりでは混乱しているよねと思いやり、妊娠を知らされていなかったのならしょうがないと理解を示す。
年上とはいえ、弥生はこんなに包容力があっていいのか。感情を出さず、穏やかに夏の話を傾聴するばかりで、こんなふうだとどこかでストレスが溜まるのではないかと思ったけれど、そういう問題ではなくて、彼女のなかにはもっと溜めていることがあった。
会社のトイレで後輩と生理や産婦人科検診の話をする弥生。朝ドラ『虎に翼』(NHK)といい、生理をはじめとして女性特有の身体的な悩みを最近はドラマで率直に描くようになっているようだ。そのときに何か思うところがあるような表情を弥生が浮かべていた。
後日、弥生の家に夏が来て、海のことをさらに深く話す。
子供を「自分が殺した」とずっと罪悪感を抱えていたと吐露する夏。話を聞いたあと、弥生はトイレにこもって涙する。トイレの床に腰をおろせてしまうとはなんて掃除をきれいにしているのだろうか。蓋(ふた)した便座に座って泣くのだと絵にならなかったのだろうけれど。
このときのあおった有村架純の瞳から涙が伝って落ちるカットがとても美しかった。声を漏らさず必死に耐えようとしてもなお止まらない涙。