◆「部屋数を増やす」提案には要注意

 工務店では、お客さんに「1円でも高く売りたい」と考えるだけの営業マンもいるそう。マイホームへの夢がふくらみ、テンションも上がり切ったお客さんが鉢合うと、たがいの思惑が絶妙に噛み合ってしまい、最悪のケースになることも…。

 住宅業界では「必要がないとわかっていて、利益率の高い『部屋数を増やす提案』をする営業マンが多い」と裏側を明かす乃村さんは、デッドスペースに絶望を抱くのも「あるある」だといいます。

「部屋数を増やす提案は、部屋を増やす場合、追加工事金額は坪単価計算になります。しかし木造建築では、30坪の家を31坪に増やす上で、木材の追加コストはそこまで大きくならず、坪単価通りの費用が増えることは少ないです。キッチンのグレードアップや建材のグレードアップより、利益率が高くなるのです。大手ハウスメーカーに行って家の面積を小さくするとその分安くなりますか?と聞いてもらえたらすぐに分かります。比例して安くはなりません。

つまり、面積が大きくなると坪単価自体は安くなるということなんです。そのため利益率も高い。僕が聞いたのは、3人家族で4LDKの住宅を建てた方のケースでした。『将来、子どもが増えたときに』『もし増えなくても何かと便利』という営業トークに乗り設計。結局、使い道のない余分な部屋ができあがってしまい、余計な出費となってしまいました」