上場後、株価はどうなる?

(写真=Tony Stock/Shutterstock.com)

このように多彩なブランドや戦略を展開しているMTGが2018年7月10日に上場します。その株価や今後の成長性が気になるところ。IPO株の抽選で当選した人もいれば、上場後の購入を検討している人もいるかもしれません。

売上ベースで見ると、2014年9月期以来、前期まで増益増収を達成しています。上場前に発表している2018年9月期の第2四半期予想では284億円の売上高を見込んでいます。昨年通期と比較するとすでに62%に達しており、今期も増収増益の可能性があります。

売上ベースで伸びそうなので、上場後も期待が持てると思う人もいるかもしれません。ただ、上場してから株価が高騰するのかといえば、別の話になります。

今回の上場に伴って690万株の株式を公募していますが、IPOの抽選は1株5800円で決まりました。これによって、株式市場から300億円以上を調達することになります。この300億円という金額が大きなものだということは、 オファリング・レシオ(☆1) という指標が比較的高めの数値で表されていることからわかります。

☆1:オファリング・レシオとは?
(公募株数+売出株)/発行済株式総数(今回の上場以前に既に発行されている株式)
株価の希少性を表す指標で、この数値が低ければ希少性が高いので株価期待があり、数値が高すぎると上場しても公募価格を割り込むことがあります。オファリング・レシオは20%±5%が適正だと言われていますが、リーマンショック以降は30%以上になるところも増えてきています。

MTGは オーバーアロットメント(☆2) を含むとオファリング・レシオは20.53%になるので、やや大型の部類になります。そのため、小型のIPOと比較して上場後すぐに株価がぐんと高騰するかどうかといえば、しないおそれもあります。

☆2:オーバーアロットメントとは?
ブックビルディング(公募)期間に、証券会社が投資家からの需要が大きいと分かった場合に、株主から借りた株式を追加で投資家に販売すること\

それでも、毎期の業績の伸びは著しく、今回のIPOによる資金用途も海外事業の拡大、研究開発資金です。今後さらに、国内外のさまざまな伝統技術を製品に生かそうと新規事業を起こそうとしているMTGであれば、機能性とデザイン性を両立させたスタイリッシュな製品が誕生するかもしれません。大型のIPOなので大きな利益を短期的に得ようというのではなく、長い目でMTGの成長性に期待してみるのもよいかもしれませんね。

大株主にはマドンナもロナウドも!スーパースターが認めるMTG

(写真=PIXTA)

最後にMTGのスゴさをもうひとつ。ここまでお話をしてくると、MTGといえばマドンナさんとロナウドさんのイメージが強くなったという人もいるかもしれませんが、実は彼らはMTGの大株主でもあります。その数、実に27,700株の新株予約権(☆)。キャスティングをするのに報酬を現金で支払うのではなく、企業の将来を期待する新株予約権を発行したとも考えられますね。

☆新株予約権とは?
期間が過ぎたら株式としてもらえる権利

世界的大スターたちが起用されるだけではなく、大株主として名前を連ねているのは意味のあることだと私は考えます。ワールドワイドに活躍するスターたちは自分自身のマネジメントセンスだけではなく、ビジネスセンスにも長けているもの。ビジネス界にも多くの出会いがあることでしょう。そんなビジネスにも精通している彼らが認めているのがMTGなのです。彼らの今後の株式の保有動向にも注目しながら、MTGを一緒に応援するのもよいかもしれませんね!

7月10日の上場後の株価の動きと今後のMTGの活躍に、みなさんも注目してみてみてはいかがでしょうか。

文・シンカワアツシ(テクニカルアナリスト)/DAILY ANDS

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