◆講談師は声だけで感情を入れることはほとんどないので真逆

――今回、声優初主演ということで終えてみていかがでしたでしょうか?

神田伯山(以下、伯山):僕はアニメに敬意はあるんですが、とにかく疎いので、手探りの中でやっていました。本当に何が正解なのかなと迷っているところを、スタッフさんと塚原重義監督がちゃんと僕のために地図を書いてくれて。「だいたいこの辺りにいるからちょっとやってみましょう」などと明快にメッセージを出していただいて。なんとか完成まで漕ぎ着けたという感じです。

『クラユカバ』©塚原重義/クラガリ映畫協會
『クラユカバ』©塚原重義/クラガリ映畫協會
――声だけで主人公の探偵・荘太郎を演じたことの楽しさ、難しさはいかがでしたか?

伯山:声優さんは120%声だけで表現するお仕事で、我々講談師は実は声だけで感情を入れることはほとんどないんですね。お客様に想像させる余地も残すので、感情を完全に入れる作業とは真逆だったりするんです。

なのでその辺りは技術的に難しかったのですが、塚原監督がたくさん先導してくれてなんとかなったのかなと思っています。ですから声優さんのことを非常に尊敬するに至ると言いますか、改めて難しいものだなと。つくづく声優の皆様方の凄さが改めて分かったという感じですね。