オールスターキャストと言っていいほど、日本芸能界の名のあるキャストが大挙出演している実写版『キングダム』シリーズですが、『キングダム 運命の炎』では物語後半に小栗旬が登場します。橋本環奈、吉沢亮に、小栗旬が加わると、コメディ映画『銀魂』(17年)っぽさを感じてしまいます。佐藤二朗まで出てきたら、もう完全にアウトでしょう。
王騎将軍の去就が描かれる最新作『キングダム 大将軍の帰還』をもって、実写化シリーズはひと区切りするようですが、現時点で72巻もある原作漫画に対し、実写化映画はまだ16巻にしか届いていません。今後も実写化を続けた場合、実写版『銀魂』や『るろ剣』と被ってくるキャストがかなり増えてくることが予想されます。
ここから本題です。主演の山崎賢人は、『キングダム』の佐藤信介監督と組んだNetflixドラマ『今際の国のアリス』(20年~)に加え、24年1月に公開された劇場映画『ゴールデンカムイ』にも主演しています。元祖「壁ドン」映画『L・DK』(14年)や『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17年)なども加えると、山崎賢人が主演した人気漫画の実写化作品は相当な数になります。
今の日本のメジャー映画は、どれも似たようなキャストばかりです。今さらですが、これは「製作委員会」方式の弊害でしょう。配給会社、出版社、テレビ局、広告代理店といった大企業が結託してブロックバスタームービーを生み出す、近年の日本映画を象徴した顔のないシステムですよ。製作委員会は、作品(コンテンツ)から一円でも多くの収益を上げるために機能する仕組みです。そのためにはヒットが確実視される人気キャスト、そしてヒット作を手掛けた実績のあるベテランスタッフが起用されます。