次に小雪が『孤独のグルメ』に登場したのは、5年後の17年、シーズン6の第9話だった。東京・旗の台で銭湯のリノベーションを依頼された五郎は、その銭湯で撮影した写真を見直しながら、カメラの中にパリ時代のデータが残っていたことに気づく。そして再び、「小雪、元気かなぁ……」とつぶやくのだった。

 思い出したのは、シーズン1と同じシーンだった。「甘いもの食べに行こうよ」。

 小雪の顔を思い浮かべながら「甘いもの……腹が、減った」と、いつものように五郎は店を探すのだった。

『孤独のグルメ』で描かれたラブシーンといえる場面は、わずかにこの2つだけである。しかも、その2つともが結局のところ「腹が減る」きっかけでしかない。

 そんな『孤独のグルメ』で、松重はどんなラブストーリーを繰り広げるつもりなのだろうか。今から期待しすぎて、腹が減ってしまいそうだ。