■ファーストステージ

Aグループ

 トップバッターはぐろう。大阪・よしもと漫才劇場で頭角を現し、今年の『ytv漫才新人賞』で準優勝を果たしている実力派の6年目。『ABC』は初の決勝となった。

「相方に自転車を貸した側が、被害届を出している」という意外な対立構図を早々に提示し、悪いほうが開き直って関係が逆転していくという、かまいたちの名作漫才「UFJ」のような空気感の漫才で、早くも今年の『ABC』のレベルの高さを感じさせる出来を見せた。

 2番手は天才ピアニスト。『THE W』(日本テレビ系)をはじめとして、賞レース6冠を制している女王である。漫才・コントどちらもこなす両刀だが、今回はコント。タクシードライバーのますみの芸達者ぶりをコントのストーリーに落とし込みつつ、おばちゃんあるあるを含んだ芝居の良さでまとめた。

 3番手のダウ90000は、これまででもっとも「8人で4分」という条件にフィックスしてきたという印象だった。蓮見以外は名前を知られていない(と、おそらくは自己分析している)舞台で「中島」という人名を出しながら情報不足にならない脚本が見事のひとこと。「もう2人いるはず」からの忽那の使い方も絶妙。

 Aブロックのラストは金魚番長。勢い、若さ、バカバカしさと、古市の妙にこなれた雰囲気のアンバランスがこのコンビ独特の味わいになっている。冒頭は大喜利のバリエーションで勝負しつつ、「この顔なのにハープ」という小ネタを伏線にしてハープを乱暴に扱うという展開も秀逸。おもしろかった。

 印象としては、個人的な順位はダウ→金魚→ぐろう→天ピと思いつつ金魚が抜けるかと思ったが、ダウが3年連続3回目の出場で初の最終決戦進出を決めた。