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Cブロック

 令和ロマンは昨年『M-1』準決勝の「猫の島」。ものすごい貫録だし、ずっとヒールに回りながらこれだけ笑いを取ってくるのだから、やはりネタ中には「反則だろ」と感じてしまうほど。強すぎるという印象しかない。

 その印象をひっくり返してきたのが2番手のかが屋。芝居だけで客席からクスクスを引き出せる賀屋の演技力と、真骨頂ともいうべき等身大の世界観。「意外と5分たってないんだ」というオチセリフのセンスも、ワンシーンワンカット映画を見た後のような満足感を残した。この2つを比べなければいけないのか、という審査員の苦悩が伝わってくる。

 さらに、フースーヤが期待通りの混沌を呼ぶ。いつ、どんなステージでどんな出順でも最高出力をたたき出すコンビだが、今回は貫録の令和ロマンと完成度のかが屋に続いて出てくるという出番も、今回のフースーヤが鮮やかに映えた理由だろう。できる限りのことをやって散る姿もまた、賞レースの美しさだ。

 2018年に『ABC』を制したファイヤーサンダーになぞらえて、ワタナベエンターテイメントでは無名で『ABC』を勝つことを「ファイヤーサンダーする」と呼ぶとか。ぎょねこのネタはそのファイヤーサンダーが6年前に披露した「KPKDBF」を思わせるホワイトボードネタ。語呂合わせを、より面倒にするという大喜利的な発想と、それを実行可能な形に作り上げる執念を感じさせた。

 令和でも仕方ないが、かが屋を行かせたい。そんな気分だった。