◆取材現場でのエピソードトーク
本田響矢という人は、おそらく現在の若手俳優の中でもっとも繊細な演技を得意とするひとりだろう。単に技術的なことではなくて、何か本能的に、素肌で繊細さを表現できてしまう感じ。
ドラマ初主演作となった『ジャックフロスト』(MBS、2023年)で、筆者はオフィシャルライターを担当したのだが、その取材現場でのエピソードトークや空気感をよく覚えている。同作は、イングランドの霜の妖精ジャックフロストをモティーフにしたBLドラマ作品。
雪の情景と本田が妙にマッチしているなと感じ、「雪国の出身ですか?」と筆者が聞くと、「福井県の出身です。まさに雪国です」(2023年4月26日BANGER!!!掲載インタビュー)と答える。雪国育ちの人はどこか抒情的で、だからこそ、凍てついた雰囲気の画面上で、繊細に研ぎ澄まされるのではないか。
本田自身、雪のような肌の白さで、凛々しさを洗い上げている。ほんとは彼が雪の妖精なんじゃないかと思ってしまうくらい。そんな出身地エピソードを語ってくれる間もまた繊細な冬景色が目の前に広がるような気がした。