◆弱々しさと凛々しさが矛盾しない

 相続の権利を主張していがみ合う徹太や次男・大庭徹次(堀家一希)、祖母・大庭常(鷲尾真知子)、徹太の妾・元山すみれ(武田梨奈)に対して、光三郎は中立の立場で必死に仲裁に入ろうとする。

 でもまだ学生の彼の言葉が、民法が改正されてもなお、家父長制が根深いこの一家の対立を抑制することはなかなか難しい。

 梅子は光三郎について、「お人よしが過ぎる子」と言う。頼りないわけではないが、力強い推進力があるわけでもない。性格が優しい分、極めて繊細で、どちらかと言うと弱々しい存在。

 ただ、この繊細な弱々しさと持ち前の凛々しさが矛盾するかと言うと、そうではない。ものすごく紙一重。それが光三郎の大きな魅力であるのだが、本田響矢が、実に的確にそのキャラクター性を伝えている。