医療保険で大切なのは保険料ではなく保障内容
医療保険をはじめとする生命保険の保険料は、予定利率や予定事業費率、責任準備金の額(将来の保険金等の支払に充てるための資金)を基に算出される。そのため、予定利率や予定事業費率の変化により保険料が改訂されると、同じ保障内容でも加入時期によって保険料に差が出る可能性がある。また、解約返戻金がある商品はそうでない商品に比べて積み立てておくべき責任準備金の額が大きく、保険料が高くなる。さらに、保険料の払込方法には「終身払い」「10年払い」「60歳払い済み」「65歳払い済み」というようにいくつかの種類があり、同じ商品・同じ保障内容でも払込期間によって保険料が変化する。
つまり保険は、保険料が高ければ高いほど保障内容も優れている、というものではないのだ。上では年間払込保険料の平均値について紹介したが、現在支払っている保険料が平均以上であるからといって安心することはできないし、平均以下であるから保障内容が悪いというわけでもない。
もちろん、同じ商品であれば入院保障日額を上げたり特約を付加したりすることで保険料が高くなるが、異なる生命保険会社・異なる商品であれば、同じ保障内容でも保険料に差が出る可能性がある。医療保険選びをする際は、「保険料が高いか安いか」「保険料の相場はどのくらいなのか」ということではなく、「自分にとって必要十分な保障になっているかどうか」「ニーズに合った内容かどうか」という点を重視することが大切なのだ。
保険料をいつまで払う?着目すべきは払込期間
医療保険に加入する際は、「保険料をいつまで払うのか」という点についてもよく考えてみる必要がある。近年は保険料が生涯にわたり上がらない終身医療保険の人気が高まっているが、若い頃は問題なく保険料の払い込みができていても、年金暮らしになるとそれが困難になるケースがあるのだ。
65歳を区切りに世帯年間払込保険料が減少
生命保険文化センターが2015年に実施した調査によると、世帯主年齢別の世帯年間払込保険料の平均は以下のようになっている(『平成27年度生命保険に関する全国実態調査』より)。
- 29歳以下……24万2,000円
- 30歳以上34歳以下……27万6,000円
- 35歳以上39歳以下……32万9,000円
- 40歳以上44歳以下……41万円
- 45歳以上49歳以下……44万2,000円
- 50歳以上54歳以下……49万8,000円
- 55歳以上59歳以下……49万2,000円
- 60歳以上64歳以下……43万4,000円
- 65歳以上69歳以下……33万9,000円
- 70歳以上……29万9,000円 50歳半ばをピークとして少しずつ高くなっていた保険料が、65歳を区切りとして大幅に安くなっているのだ。もちろん、年金生活になったことで保険内容を見直したり、子供の自立により死亡保険の保障額を小さくしたり……といったことも影響しているのだろうが、老後の保険料負担を抑えるために短期払いを選択し、65歳までに保険料の支払いを終えている可能性も十分考えられる。