◆不完全さを補い合い、支え合っていく姿に涙
そんな“不完全”な登場人物たちが、この物語では支え合って患者たちを救っていきました。第1話で三瓶が、医療行為を避けるミヤビにかけた言葉「川内先生の技術や知識で今できることを提案しています。足りない部分は周りがフォローすればいい。当然のことです。川内先生、あなたは障害のある人は人生を諦めて、ただ生きていればいいと思っているんですか?」は全話に通じています。そこには、優しさがあふれている。
医療ドラマは、医師の技術や難病が治るか治らないかに焦点が当たりがちです。しかし本作では、とにかく人と人が支え合うことの尊さが、登場人物たちの日常を通じて描かれています。「完璧である必要はない。きっと誰かが明かりを灯してくれる。助け合って生きていこう」。そんな風に、視聴者を勇気づけてくれる作品です。
第9話でミヤビの記憶障害の原因が、決して人がメスを入れてはいけない領域・ノーマンズランドにあり、無理に手術をすれば命に関わる状態であることが判明しました。第10話では、葛藤しながらもミヤビの手術ができるよう練習に没頭する三瓶に、ミヤビは「手術をしない」と告げます。それは三瓶に笑顔でいてほしいから。しかし最後には倒れてしまうミヤビ。もうほぼ毎話泣かずにはいられないのですが、6月24日放送の最終回は号泣必至でしょう。ハンカチを握りしめて、ミヤビがまた美味しそうにごはんを食べる姿が観られるように、祈りたいと思います。
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この春はドラマの放送枠も増えて、深夜帯も含めると数多くの作品が放送されました。皆さんのお気に入りのドラマはありましたか? もう来週には夏ドラマがスタート。どんな名作が生まれるのか、今から楽しみです。
<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>
【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201