◆「ありのままのお前を丸ごと引き受ける」言われてみたい

突然の宣孝(佐々木蔵之介)の求婚に戸惑うまひろ(吉高由里子)。そりゃあそうだ。幼いころから気がついたらそこにいた人なのだから。

しかしこの宣孝の求婚の言葉がいい。

「あの宋人と海を渡ってみたとて忘れえぬ人からは逃げられまい」とまずはまひろの心を見透かす。

「自分が思っている自分だけが自分ではないぞ」、とまひろの心をくすぐる。

少しムキになって「忘れ得ぬ人がいてもよろしいのですか」というまひろに「それもお前の一部だ」と返す。

「ありのままのお前を丸ごと引き受ける。それができるのはわしだけだ」

これは、宣孝にしか言えない言葉である。まひろと同世代の男性では言えない。「丸ごと引き受ける」って言ったって、私が他の男性のことを思っているとわかったら怒るんでしょう? と思ってしまうかもしれない。

そして、「都で待っている」と颯爽と立ち去る。

直秀(毎熊克哉)も、道長(柄本佑)も、周明(松下洸平)も「共に行こう」だったけれど、宣孝は「待っている」。手を引き、連れ出すのではなく、自分で選び取って自分の足で来い、というのがなんともまた心を揺さぶられてしまう。