◆だから、エコノミストや経済評論家の予想は当たらない

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 事実、新聞やマネー雑誌、ネットニュースなどを見ていると、多くのエコノミストや経済学者、経済評論家といった専門家たちが景気の見通しを発表しています。

 しかし、実際に、過去の見通しと現実の動向を見比べてみると、予想を当てる人よりも、外している人の方が多いことに気が付きます。もっと言えば、これまでにすべての景気動向を当てた経済評論家や学者は、誰もいないと私は思います。

 1989年のバブル景気の頃、多くのエコノミストや経済評論家たちが「日経平均株価は10万円台まで上がるはずだ」と口にしました。35年が経過した現在、日経平均株価はようやく最高値を更新しましたが、それでも、10万円には程遠く、ようやく4万円を超えた程度です。

 エコノミストや経済評論家たちは、経済のプロです。長年にわたってマーケットを観察してきた彼らですら、相場の動向を見誤ります。

 彼らよりもさらに知識のない個人が景気やマーケットの行く末を予測したとしても、外すケースの方が圧倒的に多いのは当然のことでしょう。

<撮影/小黒冴夏>

【中野晴啓】

なかのアセットマネジメント代表。1963年、東京生まれ。明治大学商学部卒業。2006年セゾン投信を設立、2007年4月代表取締役社長、2020年6月より代表取締役会長CEO 就任。2023年6月退任後、同年9月なかのアセットマネジメント設立。全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。近著に『誠実な投資 お金から自由になれる「長期投資」の鉄則』(徳間書店)