■やっぱ新しい関係は築けなかったという話

 要するに、いろいろあったけどやっぱアスカはハルトが忘れられない。ということを1話分かけてやったわけです。

 真顔、真顔からの号泣。そりゃ未練を描くのはいいんだけど、やっぱミスってるよなと思わせる描写でした。

 もともとこの2人は、記憶を失ったハルトの前にアスカが現れて「私が彼女ですから」と宣言したところから改めて関係が始まっています。この時点でハルトはアスカが誰だか知りませんが、「まあ彼女っつってるから彼女なんだろう」と納得して付き合い始めている。

 それからアスカはアスカなりに新しいハルトと向き合って、愛してきました、というのが前回の別れに至るまでの話なんですが、今回、未練に咽ぶアスカが思い出すシーンはすべて、事故当日と事故以前なんですね。スカイツリー、ハチミツ、キーホルダー、それに高校時代の2月29日に交わした「2024年のうるう年には結婚とかしてんのかな」という会話。

 アスカが思い出すその美しい思い出たちの中に、事故以後のハルトとのシーンがひとつもない。事故以降、記憶を失ったハルトと過ごして楽しかったことなんてひとつもなかったと、ドラマが白状してしまっているんです。