■今回、勧善懲悪はそこそこに

『花咲』のフォーマットは、基本的に花咲&相馬の臨店班コンビが銀行にはびこる腐ったおじさん連中をやっつけるという勧善懲悪がベースになっています。

 今回は、臨店に訪れた東京第一銀行の京橋支店で恒常的に勤怠記録の改ざん、サービス残業の強要が行われていることに気づいた花咲が、支店長の悪事を暴いて懲らしめるお話。すべてが明るみに出ても悪あがきする支店長に花咲がお言葉を返し、「黙れ」と一喝されて「黙りません!」と歯向かうシーンが印象的に描かれました。

 何しろ『花咲舞が黙ってない』というドラマですから、花咲は黙らないのです。

 身も心もボロボロになるまで働かされていた京橋支店の行員たちによる謀反もあって、不正は無事に本部人事部の知るところとなりました。

 普段は事件を解決したらあとはエピローグを残すのみという感じでしたが、今回はまだ2/3くらい時間が残ってる。ここで、「腐った銀行を根本から変える」というドラマの大目標に回帰していくことになります。

 京橋支店が現在のような奴隷方式の労働環境になったのは、本部経営企画部の紀本部長(要潤)が支店長だった時代の名残だといいます。9年連続で売り上げ1位を記録している京橋支店ですが、そこではかつて、紀本部長の側近である昇仙峡玲子(菊地凛子)と相馬に大きな影を落とす事件がありました。

 相馬の同僚で昇仙峡の恋人だった優秀な行員が、紀本部長の暴虐によって心を病み、自ら命を絶ってしまった。同じように深い傷を負った昇仙峡と相馬でしたが、相馬がすべてをあきらめて窓際に身を置いていた一方で、昇仙峡はあえて紀本部長の下につき、上層部へ食い込もうとしていたのでした。

 そんな昇仙峡から紀本部長への宣戦布告が描かれた今回。昇仙峡は紀本部長宛てに、彼岸花を送り付けます。差出人の名は「川野直秀」。亡くなった昇仙峡の恋人の名前です。添えられたメッセージは「また会う日を楽しみに」彼岸花の花言葉でした。