◆女性は「気が利く」ことを求められる

もともと女性にはそうした「気遣い」ができる性質が備わっているとか、得意だとかいうわけではありません。それができれば賞賛され、できなければ「気が利かない」などと言われる社会に適応するため、獲得されたものです。

男性は、一般的に気を遣われる側として成長します。だから離婚調停のプロセスで離婚を申し入れられた夫たちの話を聞くと、自分が「ケアされる」側であることを当然として疑問を持っていないのだと感じることが多々あります。それが暴力的な形で現れた例を、ひとつ紹介します。

離婚 破局
離婚を決意して私のもとを訪れたその女性は、夫から数カ月にわたって無視されていると言いました。夫は子どもとは会話をしますし、毎日妻が作ったご飯を食べ、妻が洗濯した衣類や下着を身に着けて仕事に出るのですが、妻からどのように声をかけられてもいっさい応答しないという日々が続きました。そこに妻が存在しないかのように目を合わせようともしないどころか、家のなかですれ違うときは露骨に避けるそうです。