◆初心者でエベレスト登頂は命懸け「売名」とさんざん言われても
――四国八十八ヶ所の巡礼ですね。なかなか大変な旅だったのでは?
「僕はそこまでの長距離を歩いた経験はなかったのですが、車を時おり使いながらも全箇所を周ることができました。
その時に普通の人なら5~6時間はかかるようなルートを2~3時間で歩けちゃったんですよね。それで『これだけ歩けるなら、山登りとか向いてるんじゃないの?』と言われたことがエベレスト登頂のきっかけなんです」
――山登りも初心者だったのですか?
「はい。どうせ山登りで目指すなら、やっぱり世界最高峰のエベレスト。しかも未経験者が登りきることができたら、福島の人たちも『新しいことにも挑戦してみよう』と思えるのではないかと考えたんです。
初心者がエベレストに登るなんて、はっきり言って命懸けの所業なんですよ。でも、綺麗事(きれいごと)かもしれませんが、僕は命懸けでも福島を応援したかったんですよ。僕にとって守りたいものは自分の命よりも故郷だったってこと。色んな想いがあって、エベレストに結びついたわけです」
―― 一部の人たちからは、売名行為や便乗商法なんて揶揄(やゆ)されたこともあったようですね。
「散々言われましたね。応援する=エベレスト登頂ってこと自体も荒唐無稽(こうとうむけい)だと言われましたけど、なぜそう考えたのかもひと言では説明できない部分もあって。
それでも、登頂には3回失敗して、4度目の挑戦でようやく成功することができました」
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