◆女を使った営業を責められ「どうしていいかわからなかった」

さらに女を使った営業を責められた郁子は、「触られるの嫌だったけど、どうしていいかわからなかった」と胸のうちを明かす。嫌だったと言いながら、営業先の社長に美脚を褒められたり肩を抱かれたりしているときの郁子は、ほんの少しうれしそうだった。

女として、たとえ相手がこちらの弱みをついて卑怯な手に打って出てきたとしても、それを逆手にとって営業を完遂する覚悟があるなら、それはそれでいいのではないかと個人的には思う。もちろん、そんな営業がずっと成功するとは思えないが、女を売って仕事を手に入れようともくろむ人がいたとしても決して不思議ではない。

そうやってのし上がっていく女を、決して責める気にはなれない。卓越(たくえつ)したスキルと覚悟をもって男を手玉にとってのし上がっていく女の生き方を誰が糾弾(きゅうだん)できるだろう。