◆ふたりの葛藤を、楽観も悲観も、一方的に断ずることもしない

しかし第1話・第2話を観て、この作品は多様性の時代を生きる私たちに寄り添ってくれていると感じました。成人年齢が引き下げられ大人として扱われるようになった18歳の有栖にも、仕事での成功を手にするために恋愛や結婚を後回しにしてきた40歳の瞳子にも、それぞれに共感できるところがあります。

ふたりが直面する悩みや葛藤は、誰にでも起こりうること。本作はそれらを悲観的にも、楽観的にも、断定的にも描いていません。丁寧に描いているのは、困難に立ち向かおうとする主人公たちの、人と人との繋がり。誰かと出会い、絆を育む。誰かに支えられ、支えになっているからこそ、きっと人は前に進むことができるのです。

「あなたはひとりではない」と伝えてくれている。観る人に寄り添い、勇気を与えてくれる作品になる気がしてなりません。

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7月25日放送の第3話では、いよいよ有栖と瞳子の共同生活がはじまります。年齢も価値観も違うふたりが、どのように関係を紡いでいくのか。ますます目が離せません。

<文/鈴木まこと(tricle.llc)>

【鈴木まこと】

tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201