◆ゆくえの横顔を捉えたワンショット
これはよくわからなくなってきたぞ。そう思ったのもつかの間、カレーをお替りするこのみに椿がルーをよそってあげる場面が突然輝いた。椿が鍋のルーを混ぜる。このみが自分の姉がとても楽しそうであることに対して感謝を口にする。
台所に立っているふたりが、リビングの床に座ってみんなと会話するゆくえを見る。この瞬間の多部未華子が、言葉を失うくらい美しかった。友達相手に談笑するゆくえの横顔を捉えた何気ないワンショットだ。
でもこのゆくえの横顔こそが、本作全体のハイライトだったのではないかと思わせる。最終話がそこはかとなくおかしな人間関係を散りばめたのは、実はこの多部の表情ひとつを粒立たせるための方策ではなかったのだろうか(絶対違うけど)。