◆愛しているから「動物的なこと」をしたくない

夫はドラスティックな手段を使って、妻の価値観を変えようとしたらしい。ミカコさんがセックスを好きになれないのは、夫を愛していないからではない。愛しているがゆえに、そういう「動物的なこと」をしたくなかったのだ。肌を重ねる心地よさは、子どもを育てることで満たされてきた。

「もちろん、子どもたちはもう大きいから抱きしめることも減りましたが、娘とはよくハグします。そういう意味では夫はやはりどこまでいっても“他人”なんですよね。抱き合っても娘とのハグのような安心感は得られない。むしろ、性的な雰囲気が漂うのが嫌だった」

大学生になっても門限が18時という厳格な家庭に育ったミカコさんは、26歳のときに親戚の紹介で結婚した。夫が初めての男性で、「おそらく夫も初めて」だったようだ。だから彼女は夫も「性欲が薄いタイプ」だと思い込んでいた。夫は我慢していただけなのに。

◆「汚い、こんなの嫌」思わずつぶやいた

夫に懇願されてスワッピングパーティに出向いたミカコさんだが、そこで繰り広げられている「肉欲のぶつかり」に呆然とした。

「思わず、汚い、こんなの嫌とつぶやいてしまったんですよね。主宰のご夫婦に『あなたにはこっちの世界を理解するのはむずかしいかもしれないですね』と言われました。それはそれでまたショックで……。馬鹿にされているような気がしたんです」

ベッドルーム
常識と常識破りの対比、常識から逸脱しているほうが偉いと言わんばかりの言い方に、ミカコさんは反発を覚えたという。

「私はまじめにきちんと生きていくのがいいと思っていました。それなのにあんな非常識な人たちが楽しそうにしているのがおかしい、許せないと感じたんです」