◆「私を責めないで」罪悪感を背負いながら育ててきた

 冬美はそのまま幼少期の有紗がじゃれてきた時の様子を回想しながら、「時々ものすごい罪悪感に襲われる。罪悪感を与えてくる有紗に、ますますイライラした」「なのにこの子は私のことが大好きで」「これ以上私を責めないで」と当時の心境を思い返す。

 これまであまり冬美という登場人物は掘り下げられてこず、自由奔放な印象が強かった。ただ、今回初めて冬美の内面が深く描かれており、「障がいのある状態で産んでしまったこと」「両親の愛情を与えられないこと」など、いろいろな罪悪感を背負いながら、今日まで苦労して子育てしてきたことが、辛くなるほど伺えた。