◆一条天皇と定子、そしてききょうの思い

伊周の行いにより、定子は実家である二条北宮に帰ることとなる。

一度は道長の手引きで内裏に戻り、兄と弟の罪を軽くしてもらえるよう頭を下げたが、それも叶わなかった。

「お健やかに」と立ち去る定子。そんな定子を呼び止め、抱きしめる一条天皇。個人的には一条天皇と定子の仲睦まじい様子が好きなので、何をしてくれているのだ、伊周! という思いが強い。

伊周は除目で大宰権帥への降格が言い渡されたが(隆家は出雲権守)、それに応じる様子も見せない。実家の、それも定子のそばで絶対にどこにも行かないとダダをこねる。なかなか動こうとしない伊周と隆家にしびれを切らし、実資(秋山竜次)が検非違使を引き連れ乗り込んでくる。

その様子をこっそりと見ていたのがききょう(ファーストサマーウイカ)とまひろ(吉高由里子)だ。ききょうは暇を出されていたが、定子のことが心配でたまらなかった。だからまひろを巻き込んで、二条北宮へと忍び込む。

彼女たちの目の前で繰り広げられていたのは伊周の無様な姿。そして定子が刀で自らの髪を切る……という衝撃的なシーンだった。

木の枝を両手に持って隠れるききょうたちの姿はコミカルだが、それだけに目の前で起こっている出来事のシビアさが際立つ。言葉はないのに、絶望を感じさせる定子の姿。ききょうの心中はいかばかりか。

ききょうは定子を愛してやまないが、自分の気持ちを優先しないのは見習うべきところかもしれない。今回もだが、伊周らの皇子を産めという脅しにもにらみつけるだけで堪えている。自分の身分をわきまえ、定子が責められぬように、ということなのだろうがそれにしたって、だ。