■誰を信頼するのかは自分で選ぶ

 まことさんがこんなふうに無遠慮に思いをぶつけることができたのは、公太郎という人間を信頼しているからです。

 自分探しをやめたとき、人は「今の自分」を他人に対して開いていくしかない。さらしていくしかない。訴えていくしかない。

 そして、誰に対してそれを実行していくかは、自分で選んでいくしかない。

 前回、記憶のないまことさんは、周囲から「寄ってくる人が詐欺師でもわからない」ことを心配されていました。でも、それは記憶があるなしはあんまり関係ないんですよね。誰だって詐欺師に騙される可能性はあるし、誰が信用できるかなんてわからない。

 だから「今の自分」を開いて、受け入れてもらった人を信頼していくしかない。