フランスという土地が作品に与えてくれたもの
Q. ノーマンさんが主演のスピンオフ、「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」のシリーズでは、「ウォーキング・デッド」が帰ってきた!という感じがしてうれしかったです。12年間演じたダリル・ディクソンという役柄を、今回再度演じてほしいと言われたときはどんな気持ちになりましたか?
ノーマン:まずは僕と(キャロル役の)メリッサ・マクブライドに話が来たんだ。しかもオファーがあったときはまだ「ウォーキング・デッド」のオリジナルシリーズを撮影中で、本シリーズが終わるっていうことを聞かされていなかった。だからスピンオフの話を聞いた時点では、僕(ダリル)とキャロルが、とあるミッションへ行って、そのあとオリジナルシリーズに戻ってくるっていう内容だと思ったんだ。オリジナルシリーズが終わると聞いたのはその3週間後だったね。
Q. 今回の舞台はフランスですね。フランスで物語が進むというコンセプトを聞いたときはどう思いましたか?
ノーマン:僕たちは「フランスが舞台なだけで内容はアメリカン」なものを作りたくなかった。アメリカ人がベレー帽をかぶって、バゲットを手に持ち、ボーダーの服を着ただけ、みたいなものはね(笑)。フランス人にもきちんと受け入れてもらえるようなものにしたかったんだ。だから脚本家、製作総指揮を一新して、ゼロから作り上げた。13年間ダリルを演じてきたけど、同じようなショーをもう一度見せるということはしたくなくて、完全に新しいリブートになった。
その努力もあって、レビューの点数もすばらしいものになってる。あと個人的にシーズン2のフィナーレは「ウォーキング・デッド」オリジナルシリーズを含めた中でも史上最高の内容になってると思う。本当にクレイジーですごいから早く見てほしいよ。
Q. 個人的にフランスでのアポカリプスは見たことがなくて、絶景の中でウォーカーたちと戦うという姿がとても斬新でした。アイコニックで歴史的なフランスの建物で撮影するときはどんな気持ちだったのでしょうか?
ノーマン:フランスではそこら中に本物の城があるし、モン・サン=ミシェルでも撮影したけど本当に美しかった。フランスにはとても古く歴史がある建物がたくさんある。「カタコンブ・ド・パリ(パリの地下納骨堂)」には頭蓋骨がそこら中にあってマジで不気味だった。これらのものは全てセットではなく本物だったからこそ、この番組にオーセンティックな要素を加えてくれたよ。
あと、フランスでウォーカーを演じている人たちはみんなダンサーなんだ。関節を変な方向に曲げたり、回転するプロだったんだよ。見ていてうっとりするくらいのすばらしい仕事をしてくれた。
Q. オリジナルシリーズの撮影と今回の撮影で違ったところはありましたか?
ノーマン:アメリカでは「仕事、仕事!早く早く!」といった感じなんだけど、フランスでは脚本、フォトグラフィー、衣装など詳細にこだわるところが少し違った。おもしろいエピソードがあるよ。撮影初日に1シーンを撮ったあと、フランス人のカメラクルーがおもむろに立ってタバコを吸いに行って、他のクルーと話し込み始めたんだ。僕は「今これ、何待ち?」って感じだったんだけど、隣にいたフランス人が彼らが何を話しているかを教えてくれて、それは「このカメラの動きで何を伝えられるか」っていう内容だったんだ。それを聞いて僕は「なるほど!だったらずっと話してていいよ」ってなった。フランスでは一人ひとりがアーティストなんだなと思った瞬間だったよ。
「ウォーキング・デッド」ほど大掛かりな作品になると機材も大きくなるし、「もっと、もっと(撮ろう)」ってなる。でも新しいスタートを切れたおかげで、独自の芸術性やストーリーが生まれたね。