◆倫子が羨ましい

NHK『光る君へ』第11回
まひろに狙っている人がいる、と打ち明けていた倫子。必ず、その人を婿にして見せると断言できるところに、彼女の強さを感じさせる。

地位があり、分別が付き、たおやかさもある。

彼女が思いを寄せているのは道長だが、彼女が道長の北の方になることは可能だ。条件は全て揃っている。

これで倫子が嫌味な女性ならまだツッコミどころもあるのだが、彼女がそのように育つはずがないのだ。家柄のある家の娘として生まれ、だからと言って甘やかされる事もない。入内させることを念頭に置いて育てられているのだから、それなりに厳しい環境にあるはずだ。それならば他の女性を見下したり、意地悪を言ったりもするのでは、と思わなくもないが、高すぎる場所にいるとそんなことを言う発想もないのだろう。心の余裕が彼女の美しさを生む。

ただ、道長が最初に望んだ女性がまひろだともし彼女が知ったとき、どのような思いを抱くのだろうか、と考えてしまう。下世話な妄想かもしれないけれど。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】

大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ