◆道兼の行方を案じてしまう

『光る君へ』10話(C)NHK
道長がまひろに「都を出よう」と言ったのは、当然家族のこともあったからだろう。父は一世一代の大勝負に出た。

その上で、失敗したときの予防線も張っていた。道長だけは何も知らなかったことにして、藤原家を守れ、と言う。しくじった際は、父の謀を関白に知らせよ。そうすれば道長だけは生き残れる。ここに父が賭ける期待の大きさが現れている。

「道隆の役目では?」と道長は言うが、謀が成功すれば、手柄は道隆のもの。成功しても失敗しても藤原家は残す。そういう強い意志が見てとれる。

が、そうなると、道兼である。

一番、危険な任務であるにも関わらず、どう転んでも手柄は手に入れられない。そういうさだめであり、道兼も納得しているのかもしれないが……。

手柄は手に入れられずとも、前回からの道兼はイキイキしているようにも見える。花山天皇を謀り、出家させたところで裏切りを明らかにする。その瞬間、とてもいい悪役の顔をしていたが、今後についてどのように考えているのだろう、道兼。