◆共依存の不倫を描く恐怖

 第1話の鰻屋の場面で夏生が別れを切り出したのは、妻の存在が理由になっていた。顔色が悪く、ストレスをためて深愛との不倫に逃避してしまう夏生は、家庭に問題を抱えている“らしい”。

“らしい”というのは、精神的に不安定だという問題の妻が登場しないばかりか、名前すら発せられることはないからだ。第2話の車内場面で妻の具合が悪いことが夏生の口からぼそぼそ語られるが、視聴者は素直に同情できない。

 うーむ、謎は深まる。とにかく自分まで精神的に疲弊してきている夏生は、「君のことを嫌いになったわけじゃないんだ」と弁明する。深愛は嬉しい。自分が夏生の「救い」になれたらと心の中で繰返すのだが、これが恐るべき共依存のパラサイト不倫を描く本作の恐怖なのか。唖然となる。