◆回り道しても、たどり着ける未来がある
第4話で筆者の心に最も響いたのは、有栖に向けた父・市郎のエールです。
有栖が自宅に戻らず、出産するまで瞳子と暮らすことを認めた市郎。「ただし、条件がある」と、有栖に大学を休学することを求めます。「無理かどうか、やってみなきゃわかんない」「ちゃんと考えている」と反発する有栖。「無理しちゃダメなんだ。子どもを産むっていうのは、命がけの大仕事なんだ。それを引き受けたんだろう」と諭す市郎。
すると、有栖は「子どもを産むなら、引き換えに何かを諦めなきゃいけない?」と、多くの女性が悩んだことのある課題を口にします。それに対し市郎は「諦めるんじゃない。ちょっと回り道するだけだ。どんなに回り道をしても、その場所にたどり着けばいいんだ」と伝え、力強く「絶対に行けるから!」とエールを贈りました。
福原遥の美しい大粒の涙と、名優・安田顕が表現した父の葛藤と、変わらぬ愛に包まれたこのシーン。様々な人生の選択に悩まされ続ける現代人に、そっと寄り添ってくれているようで……涙なくしては観られませんでした。
◆次回はいよいよ有栖が出産
8月8日放送の第5話では、いよいよ有栖が出産のときを迎えます。思ったよりも早い展開ですが、子どもは産んで終わりじゃない。少し回り道をしながらも、ふたりがどんな風に夢を叶えていくのか、引き続き見守りたいと思います。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
【鈴木まこと】
tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201