◆18歳の妊婦・有栖の“幼さ”で思い出されること

まず直近の第3話・第4話で目立つ、有栖(福原)の“幼さ”について触れたいと思います。第3話では、一緒に住まわせてもらうこととなった瞳子の家へ、報告や相談もなく勝手に友人を招き入れてしまいます。その上「すぐに帰るつもりだったから」と言い訳。

第4話でも、おなかの赤ちゃんの成長を喜ぶ一方で、夢のための大学にアルバイトをギリギリまで頑張るんだと、やはりいまだに現実が見えてない印象を受けました。

そんな幼い彼女に、眉をひそめるのは簡単です。でも、ここで思い出してほしいのです。瞳子と同じアラフォー世代の私たちにも、そんな風に現実が見えていなかったり、自分勝手に振舞ってしまったりしたことがあったはず。頑張れば何もかもが手に入ると、信じて疑わなかった時期はありませんでしたか? 筆者にはあります。思い出すとちょっと恥ずかしくなるほどに。

有栖の無謀さは、大人になった私たちが忘れてきたものではないでしょうか。

◆18歳の幼さを包みこむ、40歳の瞳子の“懐の深さ”

瞳子(深田)は、そんな彼女の幼さを大人として諫(いさ)めはするものの、否定することはありません。

第3話で友人を勝手に招いたことで居たたまれずに家出した有栖のことを、赤ちゃんのために車まで購入し、仲直りすべく迎えに行きます。自分自身は夢である仕事を追いかけた結果、子どもを授かる可能性を下げてしまった。そんな自分の経験を押し付けることもなく、有栖に「諦めないで。握力全開ですべてを手に入れなさい」と応援する姿は、実に凛として眩しいのです。