鈴の部下で45歳の新人産婦人科医・佐々木深夜の過去も、重い。第3話で、10年前に妊娠中の妻が常位胎盤早期剥離となり、妻子ともになくしたことを打ち明けていた深夜。第2話では妊婦に自分の価値観を押し付けてはいけないと鈴らに諭されていたが、やはり子ども絡みでは冷静ではいられなくなるようだ。春に「先生は、お子さんができたとき嬉しかったですか?」と訊かれた際はポーカーフェイスで「僕は子どもがいません」と答えていたものの、その後に鈴に佐藤夫妻のことを相談した際、居合わせた看護師の蜂須賀志信(長井短)が春に共感し、「堕ろすっていう選択も、まぁ、あるよなって」と口にすると、深夜は「贅沢な悩みなんじゃないかな……目の前の幸せを大切にできないなんて」と反発。志信と一瞬、険悪な空気になりかけた。

 ほかにも、深夜と高校の同級生だったことが明らかになったポラリス社長・北斗千明(水野美紀)だが、北斗の娘・桜(吉柳咲良)が実は別れた夫の連れ子であり、夫は血のつながった娘を置いて別の女のところへ行ってしまったという過去も明かされた。本作のメインの登場人物たちはみな、波瀾万丈の人生を送っているようだ。

 順調な鈴と一星の恋の進展と、春とうた夫妻の妊娠に対する複雑な想いが交互に描かれた第4話。筆者を含め視聴者の心はジェットコースターに乗せられたかのように揺さぶられた。

 終盤でのバックハグからのキスシーンは、鈴の気持ちがちゃんと自分に向くまで“ステイ”できた一星の想いの強さが表現された名シーンだろう。だがその後に続くラストは、怒涛の急展開が押し寄せた。SNSに「雪宮鈴は人殺し」と投稿する何者かの存在。さらに、帰宅したうたが倒れ込み、荒い息遣いでお腹が痛いと訴える。幸せいっぱいのシーンからのこの落差には、目まいがしそうなほど。