◆実直な“懸命さ”に胸が熱くなる

五島列島の美しい映像をバックに、個性豊かな島民たちとの関わりが丁寧に描かれていて、心がほっこりする展開も作品の魅力ですが、杉野の繊細な心情表現が光っているのも見どころ。

筆者は原作を未読なので、設定から主人公は偏屈でイヤな奴で、はじめは島民と衝突ばかりするのかと思っていました。しかし清舟は、ただひたすらに書道に実直な青年。島に移住したのはあくまで書の修行をするためで、清舟は静かなひとりきりの時間を過ごすつもりでいました。しかし、勝手に家に上がり込んでくる島民たちとの人付き合いや、慣れない“田舎”でのひとり暮らしに翻弄(ほんろう)されます。そんな戸惑いや心の機微(きび)を、杉野は豊かな表情で分かりやすく伝えてくれるのです。

◆島民との触れ合いを通じて、どんな成長を見せてくれるのか

番組タイトル『ばらかもん』の文字も、自ら書き下ろしたという杉野。本作に懸ける熱い想いが感じられます。その熱さが反映された、書に取り組む姿も印象的。“お手本のようなつまらない字”と評され腹を立てた清舟ですが、第1話、第2話どちらもラストで成長を感じさせる書をしたためました。

島民との交流に気づきを得て、懸命に書と向き合う眼差しには胸が熱くなります。杉野が島民たちとの触れ合いを通じて、人間として、書道家として、どんな成長を見せてくれるのか。これからも楽しみです。

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赤楚と杉野は共にゴールデン・プライム帯の連続ドラマ初主演。ふたりとも好演しているからこそ、“水10”のかぶりが悩ましいのも正直なところです。今後ますます盛り上がる、ふたりのイケメン対決から目が離せません。どちらの作品も良作なので、どちらもおすすめしたい!