■臨店班を事件に巻き込む段取りの話

 今回、花咲(今田)と相馬(山本耕史)の臨店班コンビが訪れたのは、東京第一銀行の中でもエリートコースといわれる銀座支店。融資先の浄水ベンチャーに反社とのつながりが浮上し、花咲たちが真相の究明に奔走しました。

『花咲舞が黙ってない』の見どころは、言うまでもなく花咲舞が黙ってないことなんですが、毎回、花咲舞が黙っていられない状況を作る必要があるんですね。探偵や刑事が事件に遭遇しなければ活躍できないように、花咲舞も“不正義”に遭遇しなければ黙っているしかない。

 本部臨店班の仕事はそもそも「支店の小さいミスを指摘して改善させること」と紹介されていますので、本来は花咲舞が黙っていられず、声を荒げるようなことが起こらない前提で始まらなければならないという縛りがある。

 そのうえで、花咲たちを偶然「許されざる不正」に引き合わせる必要がある。この「小さいミス」から「大きな不正」につなげていく段取りをいちいち作っていくという作業って、簡単に見えて難しいことをやってると思うんですよね。今回は支店の融資係が謝罪に行くということで「本部の人間も一緒に行った方が相手も納得してくれる」という理由で花咲たちが同行し、そこで反社とのつながりに気づいていくわけですが、ここの段取りが注目したいポイントなわけです。探偵や刑事なら勝手に事件が舞い込んできますが、花咲は基本的に巻き込まれてから巻き返すというひと手間が挟まるわけです。ドラマが花咲たちをどう巻き込むかで、その後の爽快感が大きく変わってきます。

 何が言いたいかというと、そこが『花咲』はまずうまくやってるという話です。

 あと、今回の反社組織は、そのまんま『ミナミの帝王』みたいでしたが、脚本のひかわかよさんは千原ジュニアがやってた『新・ミナミの帝王』(関西テレビ)のメインライターだったんですね。なるほど、板についてるわけだ。