独立を果たしたものの、「岡田健史」の芸名は使えなくなり、改名(水上恒司は本名)と一時休業を余儀なくされたことから「このまま消えてしまうのでは」と危惧する声が上がった。有力事務所と裁判沙汰のトラブルを起こしたとなると、テレビ局などが「忖度」で起用を控えるケースが多かったためだ。

 だが、水上は前事務所時代から仕事への取り組み方がマジメで演技力にも定評があり、人柄も評判がよかったことから「また一緒に仕事がしたい」という業界人が続出。さらに、ジャニーズ性加害問題によって業界内の「忖度文化」が急激に弱まったことも大きな追い風となった。それでも結果が出なければ消えてしまう恐れがあるが、先述したように映画は大ヒット、朝ドラも大好評となっている。

 また、昨年11月公開の映画『OUT』では「老け顔と筋骨隆々の肉体で10代に見えない暴走族副総長」という役柄をコミカルに演じて新境地を開き、阿部サダヲとW主演した映画『死刑にいたる病』でも難役をこなすなど、24歳の若手ながら演技の幅が広いことも大きな魅力だ。

 本人の才能や人柄に加え、時勢も味方につけたことで大躍進となったようだ。前事務所は桐谷美玲、黒木メイサ、高杉真宙ら主力級が続々と退所したこともあって勢いが急激に低下しており、水上の抜けた穴の大きさをうかがわせている。朝ドラの撮影終了後はさらに仕事が増加するとみられており、快進撃はまだ始まったばかりのようだ。